今後の出入国在留管理行政の在り方について⑤(安全・安心な社会の実現に向けた水際対策及び不法滞在者対策等の推進)
2020年12月10日、第7次出入国管理政策懇談会報告書が法務大臣に提出されました。
出入国管理政策懇談会は、出入国在留管理行政について広く各界の有識者から意見を聴くための法務大臣の私的懇談会であり、平成2年11月の第1次政策懇談会の発足後、これまで7次にわたる政策懇談会が設けられてきました。
第7次政策懇談会においては、平成28年9月の第1回会合から令和2年12月の第24回会合までの間、各種テーマについて議論が行われました。
報告書では、大きく分けて以下の7つの項目で議論がされています。
〇外国人との共生のための取組
〇我が国への外国人材の円滑な受入れ
〇技能実習制度の適正化に向けた取組
〇観光立国の実現に向けた取組
〇安全・安心な社会の実現に向けた水際対策及び不法滞在者対策等の推進
〇難民の適正かつ迅速な保護の推進
〇出入国在留管理における新型コロナウイルス感染症への対策
今回は、「安全・安心な社会の実現に向けた水際対策及び不法滞在者対策等の推進」について概要を見ていきます。
(1)現状・背景
〇平成27年以降不法残留者は増加に転じ,令和2年1月1日現在,8万2,892人に達している。
〇退去強制令書の発付を受けているにもかかわらず,様々な理由により送還を忌避する者が相当数存在し,適正な出入国在留管理行政の実現を妨げる要因となっている。
(2)検討事項等
〇円滑な送還のため,チャーター機送還の一層の充実を行うべきである。
〇送還忌避者の増加と収容の長期化の課題については,「収容・送還に関する専門部会」の提言を踏まえて施策を実施すべきである。
(「出入国在留管理庁ホームページ」参照)
不法滞在者の中で一番多い在留資格は「短期滞在」ですが、増加率では「技能実習」や「特定活動」が高くなっています。
「短期滞在」における不法滞在者については、入国前から不法滞在の原因(不法滞在の意図)があることが想定されますが、「技能実習」や「特定活動」では入国後に不法滞在の原因が発生するケースが多いのではないかと思います。
つまり、「技能実習」や「特定活動」の在留資格をもって、日本で生活する過程で不法滞在をせざるを得ない状況が発生してしまうケースもあるのではないかということです。
このようなことを踏まえた上で、水際対策と同時に日本国内での制度の在り方等もしっかりと検討していくことが期待されます。
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