技術・人文知識・国際業務ビザ(就労ビザ)と職務内容の関連性とは?
技術・人文知識・国際業務ビザ(就労ビザ)と職務内容の関連性とは?
不許可を防ぐための審査ポイントと職務設計の実務対応を行政書士・社労士が解説
はじめに
外国人を雇用する際に必要となる「技術・人文知識・国際業務」ビザ(通称:技人国ビザ)は、職務内容と申請者の学歴・職歴との関連性が審査の中心です。
この記事では、行政書士と社労士の視点から、審査で重視される「関連性」の考え方と、雇用契約・職務設計・人事制度との整合性を保つ実務対応をわかりやすく解説します。
技人国ビザとは?
- 対象業務:技術職(IT・機械設計など)、人文知識職(経理・企画・営業など)、国際業務(通訳・翻訳・語学指導など)
- 要件:大学卒業(または同等の専門学校卒)+職務内容との関連性
- 主な審査ポイント:学歴・職歴と職務内容の整合性、業務の専門性、待遇の適正性
審査の観点から見る「関連性」のチェックポイント
| 審査項目 | 内容 |
|---|---|
| ① 学歴・専攻と職務内容が関連しているか | 専門知識が業務に活かされているか |
| ② 会社の事業内容と職務内容が一致しているか | 業務が会社の事業目的と整合しているか |
| ③ 外国語能力や専門性が必要な業務か | 翻訳・通訳・国際業務など |
| ④ 日本人従業員と同等の責任・待遇か | 単純労働ではないか、待遇が適正か |
✍️ 職務内容の書き方
- 業務の目的・概要:
部署名・職種・業務範囲を明記し、「なぜこの業務が必要か」を説明
例:国際営業部に所属し、海外顧客向け製品の輸出販売を担当 - 主な担当業務:
日常的に行う業務を具体的かつ簡潔に記載
例:海外顧客とのメール対応、見積書作成、納期調整 - 必要な知識・スキル:
業務に必要な専門知識・言語能力・ITスキルなどを明記
例:英語での商談、Excelによる売上管理 - 業務の成果・責任範囲:
業務の成果指標や責任の範囲を記載
例:月間売上目標の達成、顧客満足度向上
❌ 不許可になりやすい職務内容の例(技人国ビザ)
- 文学部卒 → ITエンジニア職(専門性の乖離)
- 経済学専攻 → 飲食店ホールスタッフ(単純労働と判断)
- 専門学校卒 → 専攻と無関係な職種(整合性不足)
- 「営業補助」「事務補助」など曖昧な職務名(責任範囲が不明確)
実務対応のポイント:行政書士と社労士の両面から解説
- 職務内容は「専門性の証明書」でもあり、「労務管理の根拠資料」にもなる
→ ビザ申請では、学歴・職歴との整合性を示すために詳細な職務記述が必要
→ 同時に、社内の職務分掌・評価制度・賃金体系と矛盾がないよう整合性を取ることが重要
- 雇用契約書・労働条件通知書との整合性を必ず確認
→ 雇用契約書に記載された職務内容が、ビザ申請書類と一致していないと、審査で不利になる可能性あり
→ 労働条件通知書の「業務の内容」欄にも、ビザ申請と同様の表現を使うと安心
- 外国人社員のキャリアパスと職務内容の一貫性を設計する
→ 技人国ビザは「専門的な知識・技能を活かす業務」が前提となるため、入社後のキャリアパスが職務内容と矛盾しないことが重要
→ 例:国際営業職として採用した外国人が、数年後に現場作業や単純労働に従事していると、更新や永住申請時に問題となる可能性あり
→ 外国人社員のキャリア設計においては、社労士が職務等級制度や人事評価制度と連動した支援を行うことで、専門性を活かし続ける体制づくりが可能になります
まとめ
「技術・人文知識・国際業務」ビザの審査では、職務内容の専門性と、学歴・職歴との関連性が最重要ポイントです。
行政書士がビザ要件を満たす書類を整え、社労士が労務リスクとキャリア設計を見据えて整合性を担保することで、不許可リスクを最小限に抑えた外国人雇用が実現できます。
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