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技能実習制度の廃止と育成就労制度(仮称)の創設

令和4年から開催されている技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議の第16回が2023年11月24日に開催され、最終報告案が取りまとめられました。

 

現在の日本では、地方や中小零細企業を中心に人手不足が深刻化し、外国人材に頼らざるを得ない状況となっています。しかしながら、現行の技能実習制度では、転籍ができないこと監理団体による支援が不十分であることなどが原因として人権侵害等の問題が指摘されています。

このようなことから、技能実習制度及び特定技能制度の在り方が見直されてきました。

 

見直しに際しては、以下の4つの方向性が示されています。

  • 技能実習制度を、人材確保と人材育成を目的とする新たな制度とするなど、実態に即した見直しとすること
  • 外国人材に日本が選ばれるよう、技能・知識を段階的に向上させた上でその結果を客観的に確認できる仕組みを設けることによりキャリアパスを明確化し、新たな制度から特定技能制度へ円滑な移行を図ること
  • 外国人の人権保護の観点から、一定の要件の下で本人の意向による転籍を認めるとともに、監理団体・登録支援機関・受入れ機関の要件厳格化や関係機関の役割の明確化等の措置を講じること
  • 外国人材の日本語能力が段階的に向上する仕組みを設けることなどにより、外国人材の受入れ環境を整備する取組と相俟って、外国人との共生社会の実現を目指すこと

 

上記を踏まえたうえで、主に以下のような提言がなされています。

 

【新制度と特定技能制度の関係等】

・現行の技能実習制度を発展的に解消し、人材確保と人材育成を目的とする新たな制度を創設。「育成就労制度(仮称)」

・基本的に3年の育成期間で、特定技能1号の水準の人材に育成。

・特定技能制度は、適正化を図った上で現行制度を存続。

 

【新制度の受入れ対象分野等】

・受入れ対象分野は、現行の技能実習制度の職種等を機械的に引き継ぐのではなく新たに設定し、特定技能制度における「特定産業分野」の設定分野に限定。

・従事できる業務の範囲は、特定技能の業務区分と同一とし、「主たる技能」を定めて育成・評価(育成開始から1年経過・育成修了時までに試験を義務付け)。

・季節性のある分野(農業・漁業)で、実情に応じた受入れ・勤務形態を検討。

 

【受入れ見込数の設定等】

・特定技能制度の考え方と同様、新制度でも受入れ対象分野ごとに受入れ見込数を設定(受入れの上限数として運用)。

・新制度及び特定技能制度の受入れ見込数や対象分野は経済情勢等の変化に応じて適時・適切に変更。試験レベルの評価等と合わせ、有識者等で構成する会議体の意見を踏まえ政府が判断。

 

【新制度での転籍】

・「やむを得ない場合」の転籍の範囲を拡大・明確化し、手続きを柔軟化。

・これに加え、以下を条件に本人の意向による転籍も認める。

※計画的な人材育成の観点から、一定要件(同一機関での就労が1年超/技能検定試験基礎級・日本語能力A1相当以上の試験(日本語能力試験N5等)合格/転籍先の期間の適正性(転籍者数等))を設け、同一業務区分に限る。

・転籍前機関の初期費用負担につき、正当な補填が受けられるよう措置を講じる。

・監理団体・ハローワーク・技能実習機構等による転籍支援を実施。

・育成修了前に帰国した者につき、それまでの新制度による滞在が2年以下の場合、前回育成時と異なる分野・業務区分での再入国を認める。

・試験合格率等を受入れ機関・監理団体の許可・優良認定の指標に。

 

【特定技能制度の適正化方策】

・新制度から特定技能1号への移行は、以下を条件。

  • 技能検定試験3級等又は特定技能1号評価試験合格
  • 日本語能力A2相当以上の試験(日本語能力試験N4等)合格(※当分の間は相当講習受講も可)

・試験不合格となった者には再受験のための最長1年の在留継続を認める。

・支援業務の委託先を登録支援機関に限定し、職員配置等の登録要件を厳格化/支援実績・委託費等の開示を義務付け。キャリア形成の支援も実施。

・育成途中の特定技能1号への移行は本人意向の転籍要件を踏まえたものとする。

 

 

技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議において、今後の技能実習制度・特定技能制度・新たな育成制度(「育成就労制度」(仮称))の方向性が示されました。

実際の運用までにはまだ時間を要するかと思いますが、外国人材や外国人雇用の在り方が見直され、より良い方向に向かっていくことが期待されます。

 

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