在留資格「介護」
介護福祉士の資格を持つ外国人が介護業務に従事できるよう、入管法が改正され、平成29年9月1日より在留資格「介護」が創設されました。
さらに、令和2年4月1日に在留資格「介護」の上陸基準省令の改正が行われました。
1 在留資格「介護」とは?
本邦の公私の機関との契約に基づいて介護福祉士の資格を有する者が介護又は介護の指導を行う業務に従事する活動
2 在留資格「介護」の基準
一 申請人が社会福祉士及び介護福祉士法(昭和六十二年法律第三十号)第四十条第二項第五号又は社会福祉士及び介護福祉士法施行規則(昭和六十二年厚生省令第四十九号)第二十一条第三号に該当する場合で、法別表第一の二の表の技能実習の項の下欄に掲げる活動に従事していたときは、当該活動により本邦において修得、習熟又は熟達した技能等の本国への移転に努めるものと認められること。
二 日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。
※社会福祉士及び介護福祉士法第40条第2項
第1号 学校教育法第九十条第一項の規定により大学に入学することができる者(この号の規定により文部科学大臣及び厚生労働大臣の指定した学校が大学である場合において、当該大学が同条第二項の規定により当該大学に入学させた者を含む。)であつて、文部科学大臣及び厚生労働大臣の指定した学校又は都道府県知事の指定した養成施設において二年以上介護福祉士として必要な知識及び技能を修得したもの
第2号 学校教育法に基づく大学において文部科学省令・厚生労働省令で定める社会福祉に関する科目を修めて卒業した者その他その者に準ずるものとして厚生労働省令で定める者であつて、文部科学大臣及び厚生労働大臣の指定した学校又は都道府県知事の指定した養成施設において一年以上介護福祉士として必要な知識及び技能を修得したもの
第3号 学校教育法第九十条第一項の規定により大学に入学することができる者(この号の厚生労働省令で定める学校が大学である場合において、当該大学が同条第二項の規定により当該大学に入学させた者を含む。)であつて、厚生労働省令で定める学校又は養成所を卒業した後、文部科学大臣及び厚生労働大臣の指定した学校又は都道府県知事の指定した養成施設において一年以上介護福祉士として必要な知識及び技能を修得したもの
第4号 学校教育法に基づく高等学校又は中等教育学校であつて文部科学大臣及び厚生労働大臣の指定したものにおいて三年以上(専攻科において二年以上必要な知識及び技能を修得する場合にあつては、二年以上)介護福祉士として必要な知識及び技能を修得した者
第5号 三年以上介護等の業務に従事した者であつて、文部科学大臣及び厚生労働大臣の指定した学校又は都道府県知事の指定した養成施設において六月以上介護福祉士として必要な知識及び技能を修得したもの
第6号 前各号に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認められる者であつて、厚生労働省令で定めるもの
以上のことから、外国人が介護ビザを取るためには、介護福祉士の資格を取得したルートにかかわらず、在留資格「介護」に該当することが可能となりました。
これまでは、いわゆる「養成施設ルート」でしか介護ビザは認められませんでしたが、令和2年4月1日の上陸基準省令の改正を受けて、介護福祉士の資格の取得ルートの限定がなくなりました。
また、技能実習で介護に従事していた外国人でも、技能実習により日本で修得、習熟又は熟達した技能等の本国への移転に努めるものと認められることで、介護ビザを取ることも可能です。
2019年6月現在で、在留資格「介護」で日本に在留する外国人は499人です。
在留資格「介護」の上陸基準省令の改正により、介護の現場でより多くの外国人の活躍が期待されます。
※介護福祉士の資格取得ルート
ルート | 概要 |
養成施設ルート | 介護福祉士養成施設を卒業し、介護福祉士となるルート |
実務経験ルート | 「実務経験3年以上」+「実務者研修」(450時間以上かつ6月以上)を経て、介護福祉士となるルート(これに準ずるルートを含む。) |
福祉系高校ルート | 福祉系高校を卒業し、介護福祉士となるルート |
EPAルート | 経済連携協定(EPA)により入国し、介護福祉士となるルート |
3 在留資格「介護」でできること
〇介護福祉士の資格を有する者が、日本の病院、介護施設等で入浴、食事の介助等の介護業務全般を行う活動が該当し、ケアプランの作成等も含まれます。
〇在留資格「介護」においては、活動場所はかならずしも介護施設等に限定されるものではなく、訪問介護も可能であり、介護対象者も老人介護に限りません。
ただし、要介護者本人やその家族との契約に基づいて行う活動は、「本邦の公私の機関との契約」には該当しないため、在留資格「介護」には該当しません。
〇介護施設での活動であったとしても、介護業務に従事せず、専ら掃除や洗濯のような周辺作業に従事する場合や明らかに介護福祉士としての業務を必要としない施設での活動については、審査が厳格化される可能性があります。
4 介護福祉士とは?
介護福祉士とは、専門的知識及び技術をもって、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護(喀痰吸引その他のその者が日常生活を営むのに必要な行為であって、医師の指示の下に行われるもの(厚生労働省令で定めるものに限られる))を行い、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行うことを業とする者のことをいいます。
※介護の指導
介護の指導とは、資格を有しない者が行う食事、入浴、排泄の介助等の介護業務について指導を行うことや、要介護者に対して助言を行うことを指します。そのため、教員の立場で、生徒に対し介護の指導を行う場合はこれには該当しません。
5 介護福祉士になるには?
外国人の方が介護福祉士となるためには、4つのルートがあります。
①養成施設ルート
②実務経験ルート
③福祉系高校ルート
④EPAルート
これから介護のことを学んで介護福祉士として日本で働きたい外国人の方々の場合には、①養成施設ルートを選択することになるかと思います。
この場合には、日本の専門学校や短期大学・大学で介護について学ぶ必要があります。
介護の専門学校や短期大学・大学では、以下のような応募基準が設けられていることが多くなっています。
〇外国で12年間の学校教育を受けていること
〇日本語能力試験N2相当以上であること
そのため、場合によっては専門学校・短期大学・大学の入学前に日本語学校に通うという選択肢も出てくるのではないかと思います。
※養成施設ルートでの介護福祉士までの道のり
〇日本語学校⇒介護の専門学校・短期大学・大学⇒介護福祉士試験合格⇒就職
〇介護の専門学校・短期大学・大学⇒介護福祉士試験合格⇒就職
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