今後の出入国在留管理行政の在り方について②(我が国への外国人材の円滑な受入れ)
2020年12月10日、第7次出入国管理政策懇談会報告書が法務大臣に提出されました。
出入国管理政策懇談会は、出入国在留管理行政について広く各界の有識者から意見を聴くための法務大臣の私的懇談会であり、平成2年11月の第1次政策懇談会の発足後、これまで7次にわたる政策懇談会が設けられてきました。
第7次政策懇談会においては、平成28年9月の第1回会合から令和2年12月の第24回会合までの間、各種テーマについて議論が行われました。
報告書では、大きく分けて以下の7つの項目で議論がされています。
〇外国人との共生のための取組
〇我が国への外国人材の円滑な受入れ
〇技能実習制度の適正化に向けた取組
〇観光立国の実現に向けた取組
〇安全・安心な社会の実現に向けた水際対策及び不法滞在者対策等の推進
〇難民の適正かつ迅速な保護の推進
〇出入国在留管理における新型コロナウイルス感染症への対策
今回は、「我が国への外国人材の円滑な受入れ」について概要を見ていきます。
(1)現状・背景
〇我が国の少子高齢化が進む中,専門的・技術的分野の外国人労働者に対するニーズが一層高まっている。
〇特定技能制度の更なる活用に向けて,マッチング・イベントの開催や試験実施回数・場所の拡大, 二国間取決めの作成推進などの取組を実施。
〇留学生の数は増加傾向。一部の教育機関において,所在不明者が多く発生し,元留学生等の不法就労等につながっている実態もあることから,厳格化に向けた措置を導入。他方,留学生の就職促進を図るための措置も実施。
(2)検討事項等
①専門的・技術的分野の外国人の受入れ
〇受入れ機関からの納税,社会保険加入の届出,報酬の実際の支払額を確認できる方法とすることを義務化するような方策について検討されるべきである。
〇オンライン申請を一層推進し,将来的には,在留諸申請の手数料の電子納付,在留資格認定証明書の電子化等も,最大限デジタル技術を活用し,実現することを期待する。
②特定技能制度の円滑な実施
〇日本人が従事する場合の報酬と同等額以上の適正な報酬が支払われていない場合には,受入れを認めないなど厳正に対応すべきである。
〇外国人材の受入れについて,中長期的なビジョンを検討する会議体を設置し,外国人材の受入れという国の在り方に関わる重要な課題について議論すべきである。
③留学生の適正な受入れの推進
〇日本語教育機関等の受入機関の適正化に係る取組を一層推進していくべきである。
〇留学生の就職や起業に関する在留資格上の措置の制度周知が必要である。
(「出入国在留管理庁ホームページ」参照)
日本における少子高齢化に伴い、労働力不足が深刻化する中で、外国人労働者へのニーズは年々増加しているように感じます。
日本には様々な業種の企業が存在し、それぞれの企業から様々な人材のニーズがあります。
そのような中で、外国人が日本で就労するためには在留資格が必要であり、要件を満たす必要があります。ただ、このような要件を満たすという制約があることから、労働力を必要としている企業で外国人が就労できないという状況も当然起こり得ます。
このようなことから、新しい在留資格として「特定技能」が創設されましたが、日本に在留できる期間の上限があることや手続きの煩雑さ等を理由として、想定よりも普及していないのが現状です。
労働力不足の解消のために外国人の方々を雇用することは一つの解決策である一方で、日本で働きたいという外国人の方々も存在しています。
日本人にとって都合の良い仕組みや外国人にとって都合の良い仕組みを構築しても、人権侵害や不法就労などの問題が多発して、いずれ破綻してしまいます。
そのようにならないためにも、バランス良く適正なマッチングを実現することが期待されます。
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