1号特定技能外国人の自社支援
特定技能所属機関(特定技能外国人を受け入れる企業)が特定技能外国人を受け入れる場合には、「適合特定技能雇用契約の適正な履行の確保に係る基準」と「適合1号特定技能外国人支援計画の適正な実施の確保に係る基準」に適合している必要があります。
特定技能外国人支援は登録支援機関に委託せずに、自社で行う(内製化)場合には、このうち「適合1号特定技能外国人支援計画の適正な実施の確保に係る基準」を満たすことができるかが重要なポイントとなります。
「適合1号特定技能外国人支援計画の適正な実施の確保に係る基準」については、以下のように規定されています。
①中長期在留者の受入れ実績等に関するもの
②十分に理解できる言語による支援体制に関するもの
③支援の実施状況係る文書の作成等に関するもの
④支援の中立性等に関するもの
⑤支援実施義務の不履行に関するもの
⑥定期的な面談の実施に関するもの
⑦分野に特有の事情に鑑みて定められて基準に関するもの
「適合1号特定技能外国人支援計画の適正な実施の確保に係る基準」に適合するためには、以下の2つのパターンが考えられます。
Ⅰ 適合1号特定技能外国人支援計画の全部の実施を登録支援機関に委託する
Ⅱ 適合1号特定技能外国人支援計画の全部の実施を自社で行う
【Ⅰ 登録支援機関に委託】
適合1号特定技能外国人支援計画の全部の実施を登録支援機関に委託する場合には、その委託により「適合1号特定技能外国人支援計画の適正な実施の確保に係る基準」に適合しているものとみなされます。
つまり、1号特定技能外国人の支援を登録支援機関に全部委託することによって、上記7つの規定をすべて満たすものとみなされます。
ただし、登録支援機関の体制を考慮して、支援ができないと判断される場合には、「適合1号特定技能外国人支援計画の適正な実施の確保に係る基準」に適合していないと判断されることがあります。
【Ⅱ 自社支援】
適合1号特定技能外国人支援計画の全部の実施を自社で行う場合には、上記7つの規定を全て満たす必要があります。
上記7つの規定のうち、「①中長期在留者の受入れ実績等に関するもの」・「④支援の中立性等に関するもの」が、1号特定技能外国人支援を自社で行えるかどうかを判断する重要なポイントとなります。
「①中長期在留者の受入れ実績等に関するもの」
A 過去2年間に就労資格をもって在留する中長期在留者の受入れ又は管理を適正に行った実績があり、かつ、役員又は職員の中から、支援責任者及び外国人に特定技能雇用契約に基づく活動をさせる事業所ごとに1名以上の支援担当者を選任していること
B 役員又は職員であって過去2年間に就労資格をもって在留する中長期在留者の生活相談業務に従事した経験を有するものの中から、支援責任者及び外国人に特定技能雇用契約に基づく活動をさせる事業所ごとに1名以上の支援担当者を選任していること
C A及びBに該当する者と同程度に支援業務を適正に実施することができる者として認めたもので、役員又は職員の中から、支援責任者及び外国人に特定技能雇用契約に基づく活動をさせる事業所ごとに1名以上の支援担当者を選任していること
これら3つのうちのいずれかを満たすことで、「①中長期在留者の受入れ実績等に関するもの」の規定の要件を満たすこととなります。
※「就労資格」
法別表第1の1の表、2の表及び5の表の上欄の在留資格(収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行うことができる在留資格に限る。)
「④支援の中立性等に関するもの」
○支援責任者及び支援担当者が、1号特定技能外国人を監督する立場にない者その他の1号特定技能外国人支援計画の中立な実施を行うことができる立場の者であり、かつ、一定の欠格事由に該当しない者であること。
これを満たすことで、「④支援の中立性等に関するもの」の規定の要件を満たすこととなります。
1号特定技能外国人の受入れを検討している企業においては、費用面を考慮すると特定技能外国人支援は登録支援機関に委託せずに、自社で行いたい(内製化)という考えもあるかと思います。
そのためには、適合1号特定技能外国人支援計画を自社で実施するための要件を満たす必要があり、その要件を満たすためにはこれまでの外国人受入実績等が必要とされる点に注意が必要です。
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